大会長挨拶

新型コロナウイルス感染拡大防止のために人との接触を控えるように要請される日々が続いています。このような生活の精神衛生上の問題についてもマスメディアでさかんに取り上げられております。このような状態になることを予想していたわけではありませんが、日本精神衛生学会理事長の示唆を受け、かなり前に第36回大会のテーマを「混沌の時代をどう生きるか」としたのですが、今の時点で半年後の状況の見通しを立てるのも難しいことだと思っております。

 

混沌というのは目も鼻もない存在であるけれども無理に目や鼻をつけるとかえって大変なカオスになるともされている妖怪なのですが(1960年代、ウイルス研究者であった中井久夫は自分が精神科医になった頃は、精神疾患の回復について目鼻がつかない状況であったと述べています。目鼻がついたのかも、目鼻がつくようになっているとしたら状況がかなり改善したのかも答えることが難しい昨今です)、過去を振り返りながら(アメリカなどと違って日本は我が国の建国の原点というのがないという意味では難しい点はありますが-能の「山姥」のように頭もしっぽもない魑魅魍魎の物語を祝福の原点としてきた日本という国のやり方で様々な国難を乗り越えてきた作法を応用して-)私たちが今どういう状況におかれているか、どのような方向を目指せば良いのかを考えてみたいと思っています。

 

この何十年か常に、昭和一桁(後半)生まれ世代の精神衛生上の問題が取り上げられてきました-20年前には60代の、40年前には40代の、60年前には20代のというような感じでした-。現在問題になっているのは、80代の親と50代のひきこもりということや、数として減ってはいるが(世代論とは違う問題があると思いますが)10代の若者の精神衛生に関わることでしょうか。

 

現在の問題をきちんと捉えながら、「これで目鼻がついた」として終わらせないような対処が求められているのではないかと思います。

 

日本精神衛生学会の会員の皆様、および会員でなくてもこのようなことに関心を持っていて下さる方々に協力して頂いて、混沌の時代を生きるための方向性を考えてゆければ幸いと思います。

 

大会長:浮田徹嗣(横浜市立大学)


大会へのお誘い

混沌の時代をどう生きるか。

 

20204月、目に見える世界は「春爛漫」なのに、「おしゃべりをすると地獄に落ちる。」「手をつなぐことさえ、まかりならぬ。」とのお触れが出ました。「そんなはずはない」のに世界中がエゴの塊で国と国がまるで角突き合わせているようです。

 

2011年の3.11も衝撃的でした。若い人たちとすぐに走り出すことが出来ました。5月、バラの花を1本もって、1人取り残されたおばあさんを訪ねました。震災後、初めての訪問者、バラを捧げた初めての男の栄誉をいただきました。帰り道、福島に寄りました。「風薫る緑」、穏やかであるほど、違和感に落ち着けなくなりました。

 

「混沌の時代」とは内在していた「混沌」が見えてきた時代、具体的に対処すべき時代がやってきたともいえるでしょう。学会として正面から向き合ってみましょう。

 

実行委員長:黒岩 誠(明星大学 名誉教授)


大会事務局よりのご案内

第36回大会は、新型コロナウイルス感染症の情勢を鑑みて、Web大会として開催することに決定いたしました。

あらかじめご案内しておりましたとおり、大会参加は事前参加登録者のみに限らせていただきますので、ご了承ください。

 

大会に関する最新情報は、新型コロナウイルス感染症の推移をみながら、大会ホームページにて随時お知らせしてまいります。

ご理解ご協力くださいますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。